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2024/10/09 22:45



赤ちゃんがまだ胎内にいるとき

初めてお母さんのおなか越しに感じる

 ”この世の光の色” 

それが

茜の染液の色



アカネ(茜、学名:Rubia argyi)

(写真:自生する日本茜)

アカネ科アカネ属のつる性多年生植物です。
日本茜の掘りたては黄~オレンジ色の根っこですが、煮出すことで赤い色になることから”赤根(アカネ)”と名づけられたといわれています。


(写真:堀りたての日本茜の根を一晩水に晒したもの)


**染料としての茜の歴史**
縄文時代より染料として使用されたとされる茜。
日本最古の歌集「万葉集」でも茜を詠んだ歌が多く残っていることからも歴史を感じます。

また、幕末に日本で初めて日の丸を日本茜で染めたとされる ”筑前茜染め” があります。
秋田県鹿角市では、紫根染めと並び、大変色鮮やかな ”鹿角茜染め” として今なお受け継がれております。

**”アカネ”の種類**
”アカネ”と呼ばれる植物にはいくつか種類があり、
日本では日本茜、インドではインド茜、ヨーロッパでは西洋茜、ほか中国茜があります。

茎は四角く逆さ棘があり、日本茜やインド茜はフシから四方に四つの葉が、西洋茜は六つの葉が延びています。

現在、日本における日本茜の入手は非常に難しく、栽培または自生種採取にて入手することになります。
そのため、一般的には染料店などで購入可能なインド茜、西洋茜が主に染色に使われているのが現状です。

当アトリエでは、インド茜を主に使用しておりますが、栽培または自生の日本茜も使用いたします。



(写真:日本茜の花 9月頃)



(写真:自生種の日本茜の実)


**薬草としての茜**
また、アカネは古来より草木染めだけでなく薬草としても使われてきました。

浄血・解毒・血行促進・保温・通経など、特に女性には薬用効果の高い植物です。
そのため昔から赤ちゃんの産着や、女性の腰巻などにも茜染めの布が使用されていました。
また、利尿・解熱剤としても用いられたほか、煎汁を皮膚病や神経痛に外用していたそうです。

ほか、その昔、褌を茜で染めることにより、”精気を養う”という、色としての効果も知られています。

茜染めに限りませんが、草木で染色した布を身に着けることは、まさに”服用”であり、理にかなった先人の智慧でもあります。